A-2000 修理依頼品2


2025/4/29

”実は私の所有しているYamaha A-2000アンプに経年劣化が見られ、現在、音にノイズ(スクラッチノイズ)があり、低音・高音の調整がうまく効かなくなっております。音質も明らかに劣化しているように感じます。” 東京都 K 様修理依頼品

送られて来たA-2000 の電源部ケミコンが液漏れしていないか 確認の為底板を外そうと底板を見ると 底板が変形している
落下でもしたような形跡 今回の輸送で起きたのか 元々なのかは不明
ケミコンの液漏れの跡は無く 底板内側は綺麗だった 衝撃を受けた可能性があるので いきなり電源を入れるのはやめて パワーアンプから見てみる


ブリッジダイオードのハンダクラックが無いか確認 クラックは無かったが少しハンダを盛っておく
A級アンプの電源センタータップのヒューズ切れも無かった 
ケミコン接続基板も左右 液漏れ跡が無く綺麗な状態

上カバーを外してみると 後ろパネルが変形している SP端子が強く押された様だ
今回の輸送中に起きたとすると どんな扱いだったのだろうか?
之まで何回か A-2000 輸送でヤマト運輸宅配を利用したがこんな事は無かったが
落下?の衝撃がEQアンプ基板側にも影響が在った
板金の変形で基板固定のプッシュロックがせん断 破損していた
基板が割れてなく良かった 以前 YAMAHA AX-2000A の基板が割れていた事が有った

パワーアンプは大型ケミコン以外はFGケミコンに交換され 調整トリマも交換してあり ファイナルTr も 2SA1265/2SC3182 から 2SA1941/2SC5198 に両ch 交換されていた
ファイナルを交換するほどのトラブルがあったのだろうか?
修理の手が入っている


パワーアンプに問題無いか 単体で電源を繋ぎ動作確認
A級用±3V B級用±60V を印加 問題無く動作している
両ch共正常で80KHzまでフラット 一安心


パワーアンプは正常だったので 本体に戻し動作させると トーンコントロールが何か変
ソースダイレクトSWをON/OFFさせると正常になる時もあるが 不安定な時はトーンコントロールが中途半端に動く
依頼者の言われる音質劣化は 之が原因かも
スイッチを外して中を見てみと 電極の両端が黒くなっている
このタイプのスイッチは余り分解したくないのだが仕方ない


トーンコントロール基板のスイッチ ボリュウムも外す
ボリュウムにガリは無さそうだったが ケイグを吹いておく

ひたすらスイッチ接点の掃除
擦った紙には黒い汚れが付着

セレクトスイッチも少しガサガサ音が入るので掃除
バネの押さえ治具を銅板で作ったので組み立てが楽になった


後ろパネルの曲がりを修正
パネルを外した序にSP接続リレーの状態を見る リレーを基板から取り外すには SP端子を外す必要がある
SP端子は割れを防ぐ為 樹脂が充填してある A-2000 の弱点を知っているショップの作業?
リレーはオムロン 互換品に交換されている
底板の曲がりも修正 当木をしてハンマーで叩く



リレーをON させて接点抵抗を見てみると1個の接点が劣化している
本来 0.1 Ω以下のはず (ミノムシクリップの末端でNull調を取って測定)
接点を掃除済みのオリジナル 松下製に交換しておく

破損したプッシュロックを新しいものにしておく


出力オフセット B級バイアス A級バイアス 調整
電源投入 数分後大まかに調整しておいて 十分暖まった後に調整
バイアス規定値は B級:15mV A級:180mV
調整前は B級 15〜20mV 程で少し多め A級 は140mV 程だった
発熱を押さえる為規定値の80 % 程にしておく 
B級:12mV A級:140mV 程に設定 これでも放熱器は可也熱くなる
バイアスが少な目でも 歪率や音質には殆ど影響無いので 押さえておく方が無難
A級バイアスが少な目だったのが良かったのだろう ケミコンの液漏れは起きていなかった ケミコン類は状態が良いので このままで大丈夫だろう



EQ基板のオフセット調整 0±200mVと可也ラフ

一通り調整が終わり音出し確認
聴きなれたA-2000の音が出ている 
フォノも問題無く動作している



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